冬場の食事のポイント

忘年会・新年会・正月などが重なり、食べすぎ・飲みすぎになることがありますので気をつけましょう。
冬場は食事管理のペースを崩さないように注意しましょう。

<代謝水に注意>
毎回食べる食事の中にはどの位の水分が含まれているでしょう。
飲水(約800ml)を除いて、食事の量は一食約500gとして朝昼夕三食で1500gとなります。この食事を全て完全に乾燥させますと約1~2割の重量となります。すなわち残りの8~9割が水分と言えます。1日トータルの食物から摂取する水分は約1200mlとなり、飲水を加えると2000mlになります。
なお摂取した栄養素が分解される時にも水が発生します、これを代謝水と言います。
代謝水は100Kcal当たり13ml発生すると言われています。かりに2000Kcal摂取し体内で消費されますと260mlの水が発生します。

夏はたくさんの汗をかきますが、冬は汗の量が少ないので体内に水分が溜まりやすくなっています。さらに、寒さに耐えうるように体内の糖や脂肪を燃焼させて体温を保ちます。その時にも代謝水が発生します。
透析患者さまにおかれましては、冬場は特に水分が身体にたまりやすい時期でございます。飲水には気をつけましょう。

管理栄養士からのメッセージ

ここに、良い栄養指導の例として2例あげてみます。

■保存期の長い患者様A氏(男性79歳)におかれましては、長年にわたり低蛋白・低カロリー食を摂られていました。
透析導入後当医院において維持透析を進めていくなか、当初はPの値が低い状態で、体力の低下が認められました。
聞き取りますと、蛋白質の摂取量を少なくするため、長年にわたり果物が主食のような日々を送られ、肉魚を意識的に避ける(あまり食べたくない)という食生活が身についてこられたようです。「肉魚がむつかしいなら、豆腐・卵で蛋白質の補充をしましょう。」と、実に簡単な言葉を掛け続けるうちに、段々とPの値も以前より増加し、体調も良くなり始めました。
今は自宅の菜園で取れたゴーヤの卵とじをよく召し上がっていらっしゃるとのこと。わずかなことでも実行に移すと、よい結果が現れて参ります。ご高齢ながら、ご自身のご理解と料理を作る奥様のご協力により、良い経過をたどっている例でございます。

■B氏(男性67歳)におかれましては、インシュリンを注射している患者様で、リン吸着剤(商品名レナジェル・ホスブロック)を使用しておられます。
Pの値がやや高めにつき、聞き取りますと、主菜の肉魚の量は守っていると言われますが、副菜にハム・貝柱などの蛋白質源を少しずつ加えているとのこと。
こうした少しずつ余分な蛋白質の積み重ねから、Pの数値が増えてしまうということもあります。好きな魚の量を減らしたくない時は、混ぜ込みのハム・貝柱等は隠し味程度に若干量の使用にとどめておくことも大切でございます。
なお、血糖値が上昇することを恐れて米飯の量を減らして降りましたが、現在血糖値も安定しているため、Pの少ない良質の蛋白質源である米飯の量を増やすように説明致しました。
1食につき米飯150gを200g(50gの増量は3口程)まで増やして頂くだけでも腹持ち良くなり、肉魚を使用したおかずを3口程控えることも可能であると幾度となくお話致しました。しかしながら、リン吸着剤を徐々に増やしていくことにより、Pの数値が安定して参りました。ちなみに、現在の米飯の量は一食150gでございます。
実にご自身に言い聞かせるがごとく、食事の量を適切に自己管理され、今の良好な食事形態が出来上がってきた良い例でございます。
奥様は透析食料理本を参考にして調理されています。初期の段階から各食品のグラム数を理解しておくことも大切だと思います。